1.よくあるご相談:結婚から時間が経って申請が来た
総務・人事の現場では、こんな相談が珍しくありません。
- 「1年前に入籍していた社員から、今さら結婚祝い金の申請が来た」
- 「制度を知らなかったと言われた。支給しないといけない?」
- 「就業規則に申請期限は書いてあるけど、どこまで強いの?」
結論から言うと、結婚祝い金は「賃金」と捉え、賃金請求権の時効(当分の間3年)を意識した対応が安全です。
2. 結婚祝い金は「賃金」なのか?(昭和22年通達の整理)
昭和22年に発せられた行政解釈(昭22.9.13発基17)では、賃金について以下のように説明しています。
つまり、結婚祝い金は「賃金」です(賃金請求権の時効(当分の間3年))
(1)労働者に支給される物または利益にして、次の各号に該当するものは賃金とみなす。
- 所定貨幣賃金にかわり支給するもの、すなわちその支給により貨幣賃金の減額を伴うもの
- 労働契約において、あらかじめ貨幣賃金のほかに支給が約束されているもの
(2)前期(1)に掲げるものであっても、次の各号に該当するものは賃金とみなさない。
- 代金を徴収するもの。ただしその代金が非常に低額なものを除く。
- 労働者の厚生福利施設とみなされるもの
(3)労働協約、就業規則、労働契約等によってあらかじめ支給条件が明確である場合の退職手当、結婚祝金、死亡弔慰金、災害見舞金等。
参考:厚生労働省 行政解釈(昭22.9.13発基17)
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb1896&dataType=1&pageNo=1
3. 申請が遅れた場合の基本:時効は「当分の間3年」
賃金請求権の時効は、法改正により5年に延長されつつ、当分の間は3年とされています(2020年4月以降)。
実務目安(安全側)
- 求められたら「過去3年以内」の対象者については支給に応じる(時効完成前の紛争リスクを避ける)
- 3年を超える申請は、規程・周知状況・過去運用・個別事情を踏まえ慎重に判断(安易な一律拒否は説明負担が増えがち)
4. 就業規則に申請期限があっても時効は意識
「就業規則に『6か月以内に申請』と書けば、期限後は支給しなくてよいのでは?」と考える方も多いと思います。
結論としては、結婚祝い金が賃金と解する以上、申請期限を置いても、時効完成(当分の間3年)まで請求が争点化する可能性は残ります。したがって、現実的には次の発想が運用しやすいです。
- 就業規則上の申請期限は、「早期申請を促し、処理を定型化するため」に期限を設ける
- ただし、「期限を過ぎても、3年以内の請求には支給する」
5. 就業規則改定のすすめ:申請期限は「6か月 or 1年」が実務的
就業規則(慶弔見舞金規程)には、申請期限を明記しておくのが望ましいです。実務的には、6か月・1年あたりでの設定が一般的ではあります。
申請期限の設定例(考え方)
- 6か月:証憑収集や事務処理の平準化、年度決算への影響を抑えたい
- 1年:挙式・入籍のタイミングがずれる/申請が遅れがちな実態も織り込みたい
ポイント:期限を置く目的(趣旨)は申請を前倒しさせて、漏れを減らすこと。
6. 再発防止:総務側で「気づける仕組み」を作る
申請漏れは、いくら周知しても社員側が忘れてた等が発生しがちです。、会社側の“検知ポイント”不足で起きます。次のような導線を作ると漏れにくくなります。
① 休暇申請書と連動させる
- 休暇申請書にチェック欄
- 「結婚祝い金を申請する(する/しない)」
- 結婚休暇の申請が来たら、総務が慶弔規程の対象有無を確認する手順にする
② 税・社保の異動(扶養・氏名変更等)と連動させる
- 扶養追加、氏名変更、住民税・年末調整の配偶者情報など、結婚に紐づく手続が来たタイミングで
「慶弔対象か?」を確認するチェックリストを運用に組み込む
③ ワークフロー・フォームで自動化する
- 結婚報告フォーム提出 → 自動で「結婚祝い金申請フォーム」案内を返信
- 申請が未提出ならリマインド(一定期間後に自動通知)
8. まとめ:「ルール×仕組み」で揉めない運用へ
- 結婚祝い金は、就業規則等で支給条件が明確な場合、通達上「賃金」になるため、「賃金時効(当分の間3年)」が該当する
- 求められたら過去3年分は支給する運用が、紛争コストを抑えやすい。
- 就業規則には申請期限(6か月/1年等)を置き、早期申請を促す。ただし期限だけで完結させず、請求が来た場合の3年対応も併せて設計する。
- 休暇申請や社保・税の異動手続と連動し、総務側で「気づける仕組み」を作ると漏れが激減します。
慶弔見舞金・就業規則の相談は社労士まで

社会保険労務士法人シモムラパートナーズ代表
社会保険労務士 下村圭祐
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