【有料職業紹介】特定技能(2号)を人材紹介する時に必要な手続きを社労士が解説

「特定技能2号の人材を紹介したいが、どんな許可が必要なのかわからない」「受け入れ企業側はどんな書類を準備すればいいのか」――そんな疑問を持つ経営者・人事担当者は少なくありません。

特定技能2号の人材紹介は、紹介する側(人材紹介会社)受け入れる側(企業)、それぞれに必要な手続きがあります。どちらか一方でも漏れがあると、採用が進まなくなります。この記事では両側の手続きを整理して解説します。

この記事のポイント
  • ✅ 人材紹介会社には職業安定法に基づく有料職業紹介事業の許可が必要
  • ✅ 海外にいる人材を紹介する場合は、国外にわたる職業紹介の追加要件がある
  • ✅ 特定技能2号は1号と異なり、受け入れ企業の支援計画義務がない
  • ✅ 分野によっては受け入れ前に協議会への入会が必要なケースがある

特定技能2号とは?1号との主な違い

特定技能2号は、「出入国管理及び難民認定法」(入管法)に基づく在留資格のひとつです。特定産業分野において熟練した技能を持つ外国人が対象となり、より高度な業務やマネジメント的な役割を担うことが想定されています。

2023年6月の制度改正で対象分野が拡大し、現在は介護分野を除く11分野が2号の対象となっています。

1号と2号の主な違い
項目
特定技能1号
特定技能2号
在留期間
通算5年まで
上限なし(更新可)
家族帯同
原則不可
配偶者・子の帯同可
企業の支援義務
義務あり(支援計画の策定・実施が必要)
義務なし
技能水準
相当程度の知識・経験が必要
熟練した技能が必要(管理・指導も含む)

人材紹介の実務においても、1号と2号では受け入れ企業の対応が大きく異なります。特に2号では支援計画が不要な点が、企業にとっての大きなメリットです。


人材紹介会社側に必要な手続き

特定技能2号の外国人を企業に紹介する場合、紹介会社には職業安定法に基づく正式な許可が必要です。「支援をしているだけだから大丈夫」という認識は誤りであり、雇用関係のあっせんを行う行為そのものが規制対象になります。

① 有料職業紹介事業の許可取得

特定技能1号・2号いずれの紹介を行う場合も、職業安定法第30条第1項に基づく厚生労働大臣の許可が必要です。これは有料・無料を問わず、手数料を受け取る形態であれば「有料職業紹介事業」に該当します。

⚠️ 注意

登録支援機関の認定を受けていても、職業紹介(あっせん)を行う場合は別途許可が必要です。登録支援機関の認定と、有料職業紹介事業の許可は別物です。

許可取得の主な要件は以下のとおりです(職業安定法第31条)。

有料職業紹介事業の許可基準(主なもの)

【財産的基礎】

  • 基準資産額が500万円×事業所数以上
  • 自己名義の現金・預貯金が150万円+(60万円×(事業所数-1))以上

【職業紹介責任者の選任】

  • 成年に達した後3年以上の職業経験を有する者
  • 申請受理日前5年以内に「職業紹介責任者講習」を修了した者

【事業所要件】

  • プライバシーが保護できる面談スペースを確保(おおむね20㎡以上)
  • 個人情報を適正に管理するための措置を講じていること

② 国外にわたる職業紹介の場合の追加要件

海外にいる特定技能2号人材を紹介する場合、国内だけで完結する場合に比べて追加の要件と提出書類が必要です。

国外にわたる職業紹介を行う場合の追加提出書類
  • 相手先国の関係法令(該当部分・日本語訳付き)
  • 取次機関を利用しない場合:相手先国で活動が認められる証明書類(現地弁護士による証明等)
  • 取次機関を利用する場合:取次機関との業務分担契約書、相手先国で取次機関の活動が認められる証明書類、取次機関に関する申告書

⚠️ 重要な遵守事項

  • 求職者に渡航費用などを貸し付けてはいけません
  • 保証金の徴収や違約金契約を締結している取次機関を利用してはいけません
  • 紹介後2年間は転職の勧奨を行ってはいけません(無期雇用契約の場合)
  • 求職者からの手数料徴収は原則禁止です(職業安定法の定めによる)

③ 相手先国の送り出し手続きの確認

特定技能の在留資格については、相手先国で所定の送り出し手続きがある場合、それを経ていることが要件のひとつとされています。日本と二国間取決め(MOC)を締結している国については、「遵守すべき手続」が定められている場合があります。最新情報は出入国在留管理庁のウェブサイトで確認することをおすすめします。


受け入れ企業(所属機関)側に必要な手続き

人材を受け入れる企業(特定技能所属機関)にも、採用前・採用時にいくつかの確認・手続きが必要です。

① 受け入れ企業自体の要件確認

特定技能2号外国人を受け入れる企業は、以下の要件を満たしている必要があります。

  • 特定技能雇用契約が適切な内容であること(同等の日本人と同等以上の報酬)
  • 社会保険・雇用保険などの法定義務を適切に履行していること
  • 過去5年以内に入管法違反などで処罰を受けていないこと
  • 特定産業分野ごとの協議会に加入していること(または加入予定)

📌 特定技能2号の大きなメリット:支援計画が不要

特定技能1号では、受け入れ企業による支援計画の策定・実施が義務づけられています。一方、特定技能2号では支援計画は不要です。受け入れ企業の負担が大幅に軽減される点が、2号採用の魅力のひとつです。

② 協議会への入会

特定技能外国人を受け入れる企業は、分野ごとに設置されている協議会に入会する必要があります。2024年6月15日以降は、在留資格申請の前に事前の加入が必要な分野が増えています。分野によっては申請後4か月以内の加入が認められているケースもあるため、各分野の運用要領を事前に確認することをおすすめします。


紹介後に必要な継続手続き・届出

採用・在留資格取得が完了した後も、受け入れ企業には継続的な届出義務があります。

受け入れ企業が行う主な継続届出
  • 特定技能雇用契約に係る届出:雇用契約の締結・変更・終了があった際
  • 受入れ状況に係る定期届出:四半期ごとに地方出入国在留管理官署へ
  • 在留期間更新許可申請:在留期間満了の3か月前から申請可能(2号は更新回数に上限なし)
  • 社会保険・雇用保険の手続き:日本人従業員と同様に手続きが必要

よくある質問(FAQ)

Q. 監理団体の許可を持っていれば、特定技能2号の紹介もできますか?
できません。監理団体が行えるのは、技能実習に関する雇用契約の成立のあっせんに限られます。特定技能外国人の職業紹介を行う場合は、別途、有料職業紹介事業の許可が必要です。
Q. 特定技能1号を経ずに、直接2号を取得することはできますか?
可能です。特定技能2号の要件(技能試験の合格と実務経験)を満たしていれば、1号を経ることなく直接2号を取得できます。ただし、各分野の要件を事前に確認することが必要です。
Q. 特定技能2号では、企業側の支援は本当に不要ですか?
支援計画の策定・実施は法的に義務ではありません。ただし、外国人が働きやすい環境整備や日常生活のサポートは、定着率向上の観点から引き続き行うことをおすすめします。
Q. 2号の在留期間更新に回数の上限はありますか?
上限はありません。1回の在留期間は最大3年ですが、要件を満たす限り更新を繰り返すことができます。将来的に永住申請の要件を満たせる可能性もあります。
Q. 紹介後に外国人が早期退職した場合、紹介会社に手数料の返還義務はありますか?
法律上の強制ではありませんが、職業安定法の指針では返戻金制度を設けることが望ましいとされています。契約書に返戻条件を明記しておくことがトラブル防止につながります。
Q. 特定技能2号に日本語能力試験の合格は必要ですか?
分野によって異なります。建設分野については、現時点では特定技能2号取得に日本語試験の要件は設けられていないとされています。ただし、その他分野については各分野の運用要領を確認することが必要です。

まとめ

特定技能2号の人材紹介には、大きく分けて「紹介する側(人材紹介会社)」と「受け入れる側(企業)」の2つの視点があります。人材紹介会社にとっては、職業安定法に基づく有料職業紹介事業の許可が前提となり、海外からの紹介には追加の要件もあります。

受け入れ企業にとっては、特定技能2号は1号と比べて支援義務がない分、受け入れのハードルは低いと言えます。ただし、協議会への加入確認や在留資格申請に必要な書類の準備は、分野ごとに細かく異なるため、事前の確認が欠かせません。

在留資格の申請・更新は、許可まで1〜2か月程度かかります。特に在留期間満了が近い場合や、分野ごとの協議会加入手続きに時間がかかるケースもあります。余裕を持ったスケジュールで手続きを進めることをおすすめします。

手続きの詳細や書類の最新情報は、出入国在留管理庁や各分野の協議会のウェブサイトで確認するとともに、不明点は社会保険労務士や行政書士などの専門家に相談することも選択肢のひとつです。


下村圭祐

監修者

下村 圭祐(しもむら けいすけ)

社会保険労務士法人シモムラパートナーズ 代表

社会保険労務士として、中小企業の労務管理・社会保険手続き・外国人雇用に関するサポートを幅広く提供。特定技能をはじめとする外国人材の受け入れ支援にも注力しており、企業が安心して採用できる体制づくりをサポートしています。


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参考資料・出典

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